
分会(労働組合)を結成したら気をつけたいこと
労働組合を結成し、全国一般の分会として活動を始めると、これまでとは会社との関係も少し変わってきます。
労働組合は、会社と喧嘩をするための組織ではありません。労働条件を改善し、安心して働ける職場をつくるために、労働者が力を合わせ、会社と対等な立場で話し合うための組織です。
組合活動を進めていくうえでは、次のようなことに注意しましょう。
・挑発に乗ったり、暴力による解決は絶対にダメ。
社前での抗議活動や団体交渉などでは、相手から強い言葉を浴びせられたり、わざと感情を逆なでするような対応をされたりすることがあります。
場合によっては、あなたの性格や弱点を知ったうえで挑発し、暴言を吐いたり、手を出したりすることを待っていることさえあります。
どれほど腹が立つことを言われても、暴力を振るったり、脅したり、相手を侮辱するような発言をしてはいけません。
一度でもそのような行動をしてしまえば、本来会社側に問題があったとしても、
「組合員が暴力を振るった」
「会社を脅迫した」
「正常な業務を妨害した」
などと問題をすり替えられてしまうおそれがあります。懲戒処分や警察への相談など、別の問題に発展することもあります。
腹が立ったときほど、その場で反応せず、全国一般の役員や周囲の組合員と相談してください。
強く主張することと、乱暴に振る舞うことは全く違います。
冷静に、事実と根拠をもって会社と向き合うことが、結果として一番強い対応になります。
・同じ会社の労働者は、組合員でなくても仲間です。
組合に加入していない社員を「会社側の人間」「敵」と考えてはいけません。
組合に入っていない理由は人それぞれです。
「組合のことがよく分からない」
「会社から目を付けられるのが怖い」
「家族がいるので慎重になっている」
「まだ組合を信用できるか見ている」
「会社との関係を悪くしたくない」
という人もいるでしょう。
中には会社に近い考え方をする人もいるかもしれません。しかし、その人も同じ会社で働き、同じ就業規則や賃金制度のもとで働く労働者です。
賃金の引上げ、長時間労働の改善、安全な職場づくり、ハラスメントの防止など、組合が勝ち取った成果は、結果として組合員以外の労働者にも良い影響を与えることがあります。
ですから、
「組合に入らないなら知らない」
「組合に協力しない人は敵だ」
という態度を取るのではなく、
「今は組合員ではなくても、同じ職場で働く仲間」
という姿勢を大切にしましょう。
組合の活動を見て、「この組合なら信用できる」「自分も一緒にやってみよう」と思う人が現れることがあります。
仲間を増やす一番の方法は、加入を無理に迫ることではなく、日頃の活動を通して組合の姿勢を見てもらうことです。
・会社の役員や一般社員・同僚など、みんなの目が集まります。模範的な行動を!
組合を結成すると、良くも悪くも組合員は目立つようになります。
経営者や管理職から、
「仕事をきちんとしているか」
「規則を守っているか」
「問題行動を起こさないか」
と、これまで以上に細かく見られることもあります。
場合によっては、組合員の小さなミスを大きく取り上げたり、「組合員だから問題を起こす」という印象を作ろうとすることも考えられます。
しかし、見ているのは会社だけではありません。
一般社員や同僚も、
「組合を作った人たちはどんな人なのだろう」
「組合ができて職場はどう変わるのだろう」
と組合員の行動を見ています。
だからこそ、組合結成後ほど、
・挨拶をする
・仕事をきちんと行う
・就業規則を守る
・同僚にはこれまで通り接する
・困っている人がいれば助ける
・感情的な言動を避ける
といった当たり前のことを大切にしましょう。
「組合を作った人は仕事もしっかりしている」
「会社と争いたいだけではなく、職場を良くしようとしている」
と思ってもらえることが、組合への信頼につながります。
その信頼が、新しい仲間を増やし、最終的には会社との交渉力にもつながっていきます。
・全国一般がバックにいても、横暴な態度を取ってはいけません。
全国一般の分会として活動すれば、自分一人で会社と交渉する場合とは違い、上部団体の役員や経験のある組合員から助言や支援を受けることができます。
団体交渉という制度を利用して、会社に正式に回答を求めることもできます。
しかし、
「全国一般がついているから会社は何でも言うことを聞く」
「組合員だから会社は自分を処分できない」
「団体交渉を申し入れれば必ず要求が通る」
ということではありません。
労働組合には強い権利がありますが、それは会社に対して横暴に振る舞うための権利ではありません。
団体交渉でも、
「こちらの要求をすべて飲め」
「組合に逆らうならどうなるか分かっているだろう」
というような態度では、建設的な交渉にはなりません。
要求すべきことは、遠慮せずにはっきり要求する。
しかし、その理由や根拠を説明し、会社側の説明にも耳を傾ける。
そのうえで納得できないことは、さらに資料や事実を示して交渉する。
これが労働組合の交渉です。
組合の強さとは、大声や威圧ではなく、組織力・事実・法律・団結、そして粘り強く交渉を続ける力です。
分からないことや判断に迷うことがあれば、自分だけで会社に対応せず、全国一般の役員と相談しながら進めましょう。
・組合活動をしていても、仕事はきちんと行いましょう。
労働組合活動を行うことと、仕事をしなくてよいことは全く別です。
勤務時間中は、原則としてこれまで通り自分の仕事をきちんと行いましょう。
「組合を作ったから仕事をしない」
「会社と争っているから指示には従わない」
「どうせ会社は自分を処分できない」
という考え方は間違いです。
正当な業務命令については通常通り従い、担当している仕事をきちんと行うことが基本です。
もちろん、団体交渉、組合会議、ビラ配布、抗議活動など、必要な組合活動を行うことはあります。
しかしそれらは、仕事をさぼったり怠けたりすることとは全く違います。
特に勤務時間内に組合活動を行う必要がある場合や、会社施設を使用する場合などは、労働協約や会社との取り決め、全国一般の方針などを確認して行いましょう。
むしろ、
「組合員になってから仕事をしなくなった」と言わせないことが大切です。
普段の仕事をきちんと行ったうえで、
「仕事は仕事、組合活動は組合活動」
と切り分けて行動することが、会社から余計な攻撃材料を与えないことにもつながります。
・一人で判断せず、組合として行動しましょう。
分会を作ると、会社から個別に呼び出されたり、
「組合を通さずあなた個人と話したい」
「ここだけの話にしてほしい」
「あなた個人なら条件を考えてもよい」
などと言われることがあります。
その場ですぐに回答したり、約束したりする必要はありません。
特に組合に関係する問題については、
「組合と相談して回答します」
として、一度持ち帰ることが大切です。
会社とのやり取りについても、日時、場所、相手、言われた内容などをできるだけ記録しておきましょう。
一人では不安になることでも、組合として情報を共有すれば、冷静に対応できます。
労働組合は、一人で会社と戦うためのものではありません。
困ったときに一人で抱え込まず、みんなで相談し、みんなで考え、みんなで行動するための組織です。
最後に
労働組合を作ったからといって、会社の敵になる必要はありません。
会社に問題があるときには毅然として要求し、必要なら強く抗議する。
しかし、仕事はきちんと行い、同僚を大切にし、感情的な行動を避ける。
そして、一人で行動するのではなく、組合として相談しながら進める。
この積み重ねが、
「あの組合なら信頼できる」
という評価につながります。
労働組合にとって最も大きな力は、全国一般という名前そのものではありません。
職場の労働者から信頼され、仲間が増え、みんなが同じ方向を向いて行動できること。
それが、会社と対等に話し合い、職場を良くしていくための一番大きな力になります。