定年後の雇用条件改善を!

60歳定年後再雇用の労働条件が定年直前と比べて著しく低い問題を考える集会が、3月28日、国会内でありました。
主催は、全国ユニオン加盟のなのはなユニオンとシニアユニオン東京です。

集会を後援した全国ユニオンの鈴木剛会長は、「働かざるを得ないという状態を人質にとられ、59歳までと全く同じ仕事だったり、現役時よりもきつい仕事だったりするのに、労働条件が大幅に引き下げられる深刻な事態が相次いでいる」と述べ、年金支給開始年齢の引き上げや、少子高齢化が進む中でのこの問題の重要性を強く訴えました。

集会では、棗一郎弁護士が高年齢者雇用安定法の再雇用制度の問題点について講演しました。連合の山脇義光労働法制局長も高齢者雇用に対する連合の考え方を説明し、「高いモチベーションで働ける処遇が必要」と語りました。

集会では、60歳定年を選ぶか、それとも、58歳でいったん退職すれば65歳まで再雇用で働けるが、給与は退職時の約60%~約40%に引き下げられる働き方の、二者択一を従業員に迫る企業の実例が報告されました。

高年法に関する厚生労働省の疑義応答集を悪用した事例も報告されました。これについては、直前に行われた同省との交渉で、担当官から、(疑義応答集は)不利益変更を容認するものではない、という内容の見解が表明されています。
企業で働き、60歳で「退職」と扱われた当事者の男性が、この仕組みは違法であり無効だとし、地位確認を求めて提訴した経緯を発言しました。「単純におかしい。何とかしなければならないと思い提起した。少しでも世の中を良い方向に引っ張っていきたい」と決意を述べ、参加者から激励の拍手を浴びました。

全国一般福岡は、すでに、定年60才後の再雇用に関して大幅に賃金を引き下げる企業2社(九州惣菜、岡野バルブ製造)に対して、最高裁まで係争し、会社の行為は不法行為で損害賠償を支払わせる勝利判決を勝ち取っています。
全国一般福岡九州惣菜分会の闘いは、2018年3月31日の毎日新聞朝刊の社会面に大きく取り上げられました。

しかし、福岡地裁では、先月の3月13日、定年後の不利益変更に異議を主張して会社の再雇用契約書に署名した組合員に対し、会社が異議があるならば契約を締結できないと主張し、高齢者雇用契約法に反して65歳までの契約を締結しなかった事案に関して、 地位確認すら認めないという不当判決がありました。
ザル法の高齢者雇用安定法を抜本的に変える運動が求められています。