24春闘は、大手民間労組、とりわけ経営が好調な企業傘下の労働組合が、先行して回答を引き出し妥結している。
人手不足などから、ストも構えない労働組合に要求額を上回る回答をしている大手民間企業もある。
UAゼンセンは、2月21日、24春季生活改善要求でこの日までに早々に決着した6労組の妥結内容を公表した。
6件とも、流通大手イオン系の労組で、いずれも満額回答だ。
総合スーパーのイオンリテールワーカーズユニオン。正社員についてはベア1万円(3.24%)のほか、手当改定、賃金体系是正分、定期昇給相当分を含め総額1万9751円(6.39%)、パート組合員については平均76.66円(7.02%)。大卒初任給は1万円引き上げ、首都圏では26万円になるという。
総合スーパーのイオン九州ユニオンは、ベア1万2千円(4.47%)で、体系是正分を含め総額1万8810円(7.0%)、パートは平均72.08円(7.01%)の引き上げ。
両労組ともパート組合については2年連続の7%超えとなる。
その他、自動車大手では、ホンダ、マツダ、ヤマハ発動機が満額回答で妥結、基幹労連傘下の三井金属が組合要求を上回る回答で妥結している。
ホンダの月額の内訳は、ベースアップが1万3500円、定期昇給などが6500円で計2万円。 さらに、22年に労組と合意した能力開発関連の月1500円を含めると総額2万1500円、賃上げ率は5.6%。年間一時金(ボーナス)も要求通り、過去最高となる基準内賃金の7.1ヶ月分で妥結した。
マツダは、ベア・定期昇給を含む賃上げの総額は月1万6000円、賞与は年5.6カ月。賞与とベア、定期昇給を含む総額は過去最高の水準。今回の賃上げの総額は23年比6.8%相当の増加となる。
三井金属は、正社員は月2万円のべースアップを4月に実施すると発表した。基幹労連傘下の労働組合の要求額(1万5000円)を上回り、賃上げ率は平均で7.7%に相当する。ベアは3年連続で直近30年間で過去最大。初任給も引き上げ、大学卒では2万円増額の25万4000円となる。年間一時金も、過去最高となる基準内賃金の7.1か月分で妥結した。
ヤマハ発動機労組は、定昇ベアで月額1万7400円、ボーナスにあたる一時金は、過去最高となった去年の妥結額と同じ6.5か月の満額回答で妥結した。
中小企業での24春闘は、儲けて内部留保が潤沢にある大手民間企業とは違い、ストライキを背景に雇用主だけではなく、荷主・取引先との単価改定をも引き出させる闘いをしなければ大幅賃上げにはつながらないだろう。