トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」への対策として、政府は、今国会に提出する物流関連2法の改正案に運転手の負担を減らす取り組みが不十分な大手の荷主企業や物流事業者に対し、最大100万円の罰金を科すという。
改正案では、大手企業の荷主を対象に、荷待ちや積み下ろし作業にかかる時間の短縮に向けた中長期計画を作成した上で、取り組み状況を国に毎年報告することを義務化。社内で責任を明確にするため、物流統括管理者の配置も求める。計画に基づく対策が不十分の場合、国が是正を勧告、命令し、違反すれば最大100万円の罰金を科す。計画が未提出の場合などの罰金は最大50万円。
また、トラック事業者が下請け業者と契約する際、荷役の料金やガソリン価格の上昇分などを盛り込むことを義務づけ、下請けへの依頼内容を記録することも求め、運送業界の多重下請け構造を可視化する。
トラック運転手は、全産業の平均と比べて、労働時間が2割長く、賃金は1割低いとされる。国土交通省によると、トラック運転手の1日の平均労働時間は12時間26分で、このうち、3時間超が運転とは関係ない荷待ちや、積み下ろしをする荷役といった業務という。しかし、運送業界はいまだに違法な名義貸し車両も多く、把握されていない長時間労働が蔓延しているのが実態だ。
運送業界は、多重の下請け構造となっており、間に事業者が介在しピンハネし、実際に運送に従事する運転手の報酬に回せる原資が少なくなっている。
傭車など多重的な下請け構造の改善は喫緊の課題だ。