自民党の最賃議員一元化推進連盟の議論

自民党の最低賃金一元化推進議員連盟は、3月6日、国会内で会合を開き、先進各国の最賃の引き上げ動向や、外国人技能実習制度に代わる新たな制度の下での最賃の地域間格差などについて検討協議した。
最低賃金の下限を早急に千円とする案や、24年度最賃改定は6%とすべきとの主張、2030年までの1500円実現などの意見が表明された。
厚生労働省の担当課長が、ワシントン州(2327円)を筆頭に全米22州で1月から最賃が引き上げられたことや、英仏独の各国では最賃が日本円換算で1900円前後に到達していることを報告。出入国管理庁の担当課長は、技能実習制度に代わる新たな制度の概要を説明した上で、「台湾、韓国が人材獲得のライバル。韓国は全国一律最賃でもあり、より魅力ある仕組みとなる方が所管官庁としてはありがたい」と理解を示した。
日本の最賃問題について提言している、政府の成長戦略会議元有識者委員、デービッド・アトキンソン氏が講演。直近の世界の最賃引き上げのすう勢は8%だと述べ、24年度改定では6%の最賃引き上げが妥当であると主張するとともに、千円以下を早期に撲滅する政策が必要だと強調。最賃の引き上げで中小企業の倒産が増えるという主張は根拠が乏しいなどと力説した。
議連会長の衛藤征士郎衆院議員は「最賃のランクを昨年、4区分から3区分にしたが、次は2区分だ。総理は30年代半ばに1500円に到達させるというが、それでは遅すぎる。30年代半ばではなく、30年をデッドラインとすべき」と持論を展開。「一元化を今まで以上にアプローチしていかなければならない」と語った。
会合には加藤勝信前厚労大臣も出席していた。

自民党の活発な最賃引上げの背景には、経済界でも指摘しはじめた先進諸国の中での日本の賃金水準の低さだろう。
経済同友会の新浪剛史代表幹事は、年頭の報道各社の取材に応じ、医療や介護、小売りなど人手不足が深刻な業種で人材を確保するためには、大胆な目標を掲げる必要があるとして、最低賃金の全国平均時給について、3年後をめどに「2000円を目指すべきだ」と訴えている。

一方連合は、昨年12月、最低賃金について、2035年までに時給1600円から1900円程度の水準まで段階的に引き上げるとする新目標を発表したが、11年後とは世界の先進国の最賃の状況とかけ離れておりあまりにも遅すぎる。

先進国の最賃事情を踏まえれば、「 3年後に最賃時給を2000円」の方針を全ての労働組合のナショナルセンターは掲げ世論喚起をすべきだと強く思う。