全国一般教職員労働組合が人事委員会に審査書類を提出!

全国一般北九州教職員労働組合は、組合員が学校管理職などからのハラスメントで精神疾患を罹患し出勤することができなくなり、同僚のK教員が病気休業届を校長に提出したものの、教育委員会が診断書が添付されていないことから無届欠勤と認定し、3ヶ月の停職処分という懲戒処分を行った事案に対して、不利益処分審査請求を行っています。
同僚は、休業届に不備があれば連絡していただくよう校長に伝えていましたが、校長は欠勤が21日に達するまで診断書の件は伝えず、処分庁の教育委員会は懲戒処分を行いました。

職員は、懲戒処分やその意に反して免職、休職、降任、降給などの処分を受けた場合、人事委員会に対し審査請求ができます。人事委員会は、事案ごとに公平委員会を設置して処分に違法又は不当なところはないか調査を行わせ、委員会が作成した調書に基づき、処分を承認し、修正し、あるいは取り消す判定を行います。
今回、準備書面2と産業医面談報告書や学校管理職、教育委員会職員が組合員にハラスメントを行っていた録音を文書にした証拠甲15号証から47号証を提出しました。

準備書面2

令和6年(2024年)4月16日

北九州市立人事委員会
審理長 成清 雄一 様

審査請求人
全国一般北九州教職員組合
◯◯ ◯◯

審査請求人主任代理人
山岡直明

審査請求人は、令和5年(審)第1号審査請求事案について、以下のとおり準備書面を提出する。

1.準備書面の趣旨
前回までに提出した反論書及び書証等に加え書証甲第15号証以降の内容も加味することで処分庁職員及び学校職員によるパワーハラスメントが如何にして審査請求人を精神疾患及び病気休業に追い込んでいったのかを説明するとともに、校長、教頭及び処分庁が事前に審査請求人の精神疾患を産業医から詳細な報告があったにもかかわらす安全配慮義務を怠っていたこと、不利益処分の内容が処分庁側の恣意的且つ不当なものであるのかを主張するものである。

2.論点整理
令和5年(審)第1号事案 争点整理表を基に、パワーハラスメントと休職等についての因果関係、校長、教頭、処分長の安全配慮義務等について述べる。

令和2年度から始まった、K教諭、H教諭による虐め行為が審査請求人に対して生じたことはこれまで述べた通りである。具体的な事案に関しては「(別紙)審査請求書 第1号様式処分に対する不服の理由」等にすでに詳細に述べている。
令和3年度から、審査請求人に対して、K教諭は生徒の前で叱責を繰り返し、またH教諭やM教諭と一緒になり文化発表会の準備等を審査請求人一人に押し付けるなどハラスメントがエスカレートしていった。
審査請求人がY校長にハラスメントを相談しても、校長はイライラしながら最終的には怒号を上げて叱責し幾多の事案を問題にすらしなかったのである。
令和4年度になると審査請求人に対する行為だけではなく、K教諭、H教諭、O教諭は担当クラス生徒にまで指導と称し虐めや嫌がらせ行為と生徒が感じる行為を行いはじめた。個別の生徒に対して意図的に学校から自宅に帰し、修学旅行にもいかせず、生徒らは完全に不登校になっていった。
このような状況の中、審査請求人は生徒の命や人権を守るために教育委員会に相談に行った。教育委員会の労務争訟担当のY係長は、「ハラスメント関係であれば第三者委員会を入れて調査します」と言ったものの、教職員課のみで調査を行い、審査請求人がパワハラやセクハラ等を行ったなどと主張して精神的に追い詰める行為を行った。
しかしながら、このような処分庁職員、処分庁及び学校側の審査請求人に対する非違行為については、高見中学校の保護者に露顕されることとなっていった。
処分庁は、審査請求人をパワハラで訓告にするものの、パワハラを認定する場合、第三者委員会を入れなければいけないことや「北九州市教育委員会における懲戒処分の指針」によれば、パワハラは戒告以上の処分が明記されている。しかし、審査請求人をこのような手続きを経ずして訓告にしたことは合理性に欠け不当・違法である。
かかる処分庁の行為は、審査請求人をパワハラで訓告処分すれば、あたかも審査請求人に問題があると生徒や保護者も含めて地域住民に伝え、学校管理職等にはあたかも問題がないことを繕おとしたと推認される。
訓告といえども、審査請求人に精神的苦痛を多大に与えることとなった。そして、学校のみならず処分庁職員によるハラスメント、叱責、追及により、審査請求人は、甲第45号証の産業医面談報告書の通り、うつ病の精神疾患を罹患し、就労・勤務ができない状態にまで至ったのである。
次に、審査請求人が論点として追加を主張している高見中学校の校長、教頭、及び処分庁が、本件の病気欠勤の前に審査請求人が就労できない状態のひどい病状に至っていたことを認識していたかどうかについて主張する。
甲第45号証で、明らかなように、審査請求人は、本件病気欠勤になる前の、令和4年10月24日、令和4年11月16日、令和4年12月7日に産業医面談を行っている。
令和4年10月24日の産業医面談報告書では、医師は面談概要として「職場でのトラブルがあり、精神的にきつい状態が続いている。その後から食欲も低下し、7月に比べ10㎏低下しているとのことであった。寝付きは悪く、2~3時間しか寝られない状態であること。一時は自殺まで考えたとのことだか、現在は希死念慮はない。トラブルがあってから職員室に入ることができなくなり、理科室で過ごしている。身体及び精神症状が出現しており、(特に希死念慮も出現する場合は)病休も視野に入れてかかりつけ医と相談するように勧めたが、病休取得については拒否された。少なくともかかりつけ医への受診継続は必要であることを説明した。また睡眠時間については、6時間は確保できるよう、かかりつけ医と相談するよう説明した。今後、かかりつけ医を変更する予定もあるようであり、その後も治療経過も含め、また1ヶ月後にフォロー面談を予定した」と記載している。
この段階で、学校長、教頭、処分庁は、審査請求人の深刻な病状を認識しており、精神疾患という本人の病状と自殺まで考えていたことなど踏まえ、医師の見立て通り病気休業を強く勧めなければならなかったのである。しかし、校長、教頭はそのようなことは行っていない。
その1ヶ月後にあった、令和4年11月16日の産業医面談報告書では、医師は面談概要で「戸畑区のメンタルクリニック、うつ病の診断で薬剤調整をされ、治療を継続している。抑うつ症状が悪化しているとのことで、希死念慮は常にあるとのことであった。休職を勧めたが、拒否された。主治医からも休職を勧められたとのことであったが、休職する気はない。不眠があり、睡眠薬がないと4時間程度で目が覚めてしまう。昼に給食は食べているが、朝食・夕食はあまり食べていないとのことであった。週に1回受診は続けることができているが薬が合わず、めまいがするなどの症状があり、調整中である。休職に関しては主治医にも再度相談するよう説明した。」と記載している。
そして、医師は産業医意見として、「就労禁止」とする就労制限を記載している。
この段階では、審査請求人の病状は極めて深刻な状態となっており、校長、教頭、処分庁は、産業医の意見を踏まえ、審査請求人に対して病気休業を働きかけ、本人が拒否しても病状から正常な判断ができないと判断して病気休業を命じなければならない、自体に至っていることは明らかである。
令和4年12月7日の産業医面談報告書では、医師は面談概要で「メンタルクリニックを受診し、上記診断で治療を継続している。精神状態は変わらず、希死念慮もあるとのことであった。病院でも薬剤調整を続けており、一度休むように言われているが、拒否している。食事は摂るようにしているが、睡眠が3時間ほどしかとれていないとのことであった。睡眠時間は確保するよう説明を行った。今回の面談でも休職を勧め、病院受診の際に再度休職も含め相談して頂くよう説明を行った。」と記載している。
この3回目の産業医面談でも、医師は前回同様に、審査請求人については就労については就労禁止を意見している。
そして、医師は、特記事項として、「希死念慮も続いているとのことであり、休職を勧めました。主治医とも再度休職も含め相談するように本人に説明しています。通院時間の確保などご配慮頂けましたら幸いです。」と希死念慮など深刻な状況である意見を述べている。
校長、教頭、処分庁は、教員に対して、快適な職場環境で業務に従事してもらい、安全と健康を確保できるように配慮しなければならない義務、いわゆる安全配慮義務を負っている。そのため、今回の事案のように教員自身が病気休業を拒否し「まだ働ける」などと言ったとしても、私病や怪我などで身体的精神的に不健康な状態であれば、健康な状態に回復してもらう目的で休職命令を出さなければならない。
一般企業では、使用者が従業員を体調不良のまま働かせ続け、病状が悪化したり、万が一にも過労死など最悪の事態を招いてしまえば、重い責任を負うことから、休職命令が適切と考えれば、命令を強制するため、就業規則に「精神的疾患あるいは身体の疾患により、通常の労務の提供ができず、その回復に期間を要すると見込まれるとき」などと規定し、従業員の健康状態を見て通常の労務の提供ができない状態が続くことが見込まれるときは、休職命令を出している。
公務員については、地方公務員法第二十八条の2項で休職に関して、「職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを休職することができる。一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合」とある。
つまり、校長、教頭、処分庁は、審査請求人が深刻な病状で就労禁止との産業医の意見を受け、地方公務員法に基づき病気休職を命じなければならい立場にある。
このことを怠っていることは極めて重大である。
従って、新たな論点として、校長、教頭、処分庁が事前に産業医から審査請求人が就労禁止という極めて深刻な病状に至っていることら知りながら、休職命令をだしていないこと、さらに、本人に代わってK教員が校長に審査請求人の休業届(診断書の添付がなかった)を出した段階で、正式な手続きを教えなかったこと、さらにはそれができないならば病気休業を命じなければならなかったのである。
校長、処分庁らは、診断書などを取り病気休業を申請していないなどまさに論外・筋違いの主張であって、審査請求人の深刻な病状を踏まえ、産業医の面談報告書をもって診断書として代用して病気休業の手続きを援助・代行しなければならない立場、または病気休業を命じなければならない立場である。
係る経過からすると、校長、教頭、処分庁は、地方公務員法に基づく病気休業命令を出さず、実質病気休業を無届欠勤扱いにすることで懲戒処分にするような不合理且つ不当な対応を行っているのである。
さらに、病気欠勤の間には、学校職員や処分庁職員の度重なるパワハラで、希死念慮まであり憔悴しきっていた審査請求人の家に押しかけたり、電話をかけるなどの行為を行っており、かかる行為は審査請求人にとっては恐怖でしかなかったのは容易に推認できる。
校長、教頭は意図的に審査請求人を処分するため既成事実を虎視眈々と作っていったといっても過言ではない。さらに証拠等で明らかなように、処分庁が地下室等で脅すような聴取を行うなどしてさらに処分を重くするための算段も行っていた可能性も推認できる。
審査請求人は、処分庁の本件処分がいかに不当・違法で処分権の濫用であることを証明・主張するため今回新たな根拠を提出するものである。
以上